FOR ME NY

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「しまった!失敗した!」インプロ特別講座

posted date / 2021.5.26

FOR ME NY特別監修であり、スタンフォード大学名誉上級講師のPatricia Ryan Madsonさんのインプロバイザー育成特別授業をStanford 大学Continuing educationにて受講しています。

Patriciaさんの著作『スタンフォード・インプロバイザー 一歩を踏み出すための実践スキル』の一部を抜粋して、インプロのエッセンスや人生を豊かにする考え方をシリーズでご紹介します。

 

失敗した時の対処法

第二回目の今日は、失敗してしまった時の対処法についてです。
前回の投稿では、”どんどん失敗しましょう” についてお伝えしました。

では実際に「しまった!失敗した!」と思った時に、どんな気持ちで対処したらいいのでしょうか。

Patriciaさんはこう述べています。

ひるんだり、「しまった!失敗した!」と思って自分を責めたりする代わりに、
ピエロは一方の客席の方を向くと、両手を広げ、腕を高々とあげて、

「ジャジャーン!」

と言いながら、まるで離れ技を決めたかのように大げさにお辞儀をするのです。
それからもう一方の客席へ向き直り、

「ジャジャーン!」

と同様にお辞儀をします。
両サイドの客席に対して行うことで、ピエロはいまいる場所を三百六十度見渡すことができます。

これが素晴らしいのは、集中力を取り戻し、意識をふたたび観客に向け、堂々と周囲を見まわすところです。このような前向きで神経を研ぎすませた姿勢こそ、失敗したあとには持つべきなのです。

 

ありがちなのは、ミスすると意識が内側に向いて、なぜこんなことをしてしまったんだろうなどと思うこと。体が縮こまり、自分の殻に閉じこもってしまうのです。

 

けれども、実のところは、失敗はわたしたちの目を覚まさせてくれるもの。
いっそう神経を研ぎすませ、活動的になりましょう。

 

インプロバイザーはどんどん失敗をすることで知られています。

あなたも、1日に少なくとも一度は失敗をするよう心がけ、実際に失敗してください。

記録をつけましょう。リストにミスが一つ加わったら喜んでください。
自信を持って失敗する人になりましょう。楽な気持ちえ取り組んでください。
どれくらいの割合で、ミスがチャンスに、あるいは幸運にさえなりうるか、よくみてください。もしあなたの失敗のせいで誰かに迷惑をかけてしまったら忘れずに謝りましょう。

実際にStanford continuing educationの講義でも、誰かがミスをしたり、間違えると、全員で「ジャジャーン!」と喜んで和やかな雰囲気になることが何度もあります。

今日、何か失敗をしたら、一度「ジャジャーン!」と喜んでみるのはいかがでしょうか。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

インプロとは

インプロとはインプロビゼーションの略で、日本語で言う即興を示します。演劇の世界では即興劇用に様々なトレーニング方法が長い時間を経て確立されており、ブロードウェイ俳優養成学校などで受講することが出来ます。

インプロでは、全てが自由です。定められた台本も筋書きもなく、すべて俳優たちの最良に任せられています。

最近になって、俳優のためだけではなく、発明力や創造力、表現力、臨機応変能力、コミュニケーション力を養うための学びとしても非常に有効であることが米大企業、経営者たちの間で知られ始め、世界中の企業や教育機関から注目をあびています。

スターバックス、マリオット、マイクロソフト、マサチューセッツ工科大学や、スタンフォード大学までもがこのインプロを取り入れた研修を行なっています。

『MIT Sloan Management Review』で発表された、“Learning the Art of Business Improvisation”という研究では、急速な変化への対応とイノベーションが求められるビジネスシーンにおいて、クリエイティブに問題解決を行っていくためには、インプロが有効と説明されています。

特に商品開発とチームパフォーマンスに向上が見受けられ、具体的な変化を認識したり、変化をポジティブに捉えられるようになる研究結果が出ています。

相手の心に寄り添い、心地よい環境を作り、喋りやすく楽しい場所を提供し、舞台(職場)上でどんなアクシデントが起こっても、それを「楽しく」とらえ、先に進んでいく力はどの職業においても重要なものであると考えられているからではないでしょうか。