FOR ME NY

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特別ワークショップ「米国・バークリー音楽大学とZoomで交換留学:英語でミュージカルを観よう!日本の文化を伝えよう!」

posted date / 2021.12.25

FOR ME NYアドバイザーの鈴木健介です。

本日は、米国・バークリー音楽大学の共催で、2021年12月10日・11日に開催された特別ワークショップ「米国・バークリー音楽大学とZoomで交換留学:英語でミュージカルを観よう!日本の文化を伝えよう!」についてご報告します。

 

バークリー音楽大学は、米国・ボストンに本拠地を置く世界トップクラスの音楽大学で、FOR ME NY Japanの坪田京子は同大作編曲学科の卒業生です。バークリー音楽大学では、学生たちが創作したオリジナル・ミュージカルを子供向けに上演し、さらにミュージカルの制作過程を体験しながら音楽を通じた異文化交流を図る「Theatre for Young Audience」を主催しています。この取り組みは、バークリー音楽大学のRene Pfister教授が2016年に始めたもので、当初はボストン市立学校の児童とその家族を招待して実施されていました。その後、活動の幅は世界中へと広がり、コロナ禍の現在においては、Zoomを使って各国の子供たちと交流が行われています。

 

この「Theatre for Young Audience」の一環として、FOR ME NYは、昨年度よりバークリー音楽大学との共催という形で、日本の中学生を対象に特別ワークショップを開催して参りました。2年目となる今年は、名古屋大学教育学部附属中学校東洋英和女学院中学部の生徒15名を対象に、2日間にわたって実施しました。

Zoomで交換留学

コロナ禍で海外への渡航が難しい状況が続いています。
一方で、今回の参加者の多くが、海外留学や国際交流に強い関心を持っていました。
私たちはそうした子供たちの想いに少しでも応えようと、ワークショップのタイトルをバークリー音楽大学とZoomで交換留学としました。

 

昨年は、バークリー音楽大学の学生による創作ミュージカルの鑑賞と、ミュージカル制作過程の体験を中心としたプログラムで、バークリーの学生がワークショップをリードするような形で進められました。今年は、日本の中学生たちにより主体的にワークショップ参加してもらおうと、音楽を使った日本文化の紹介というプログラムを加えました。

 

双方向の交流を図るというコンセプトが、私たちが今回のワークショップを「交換留学」と呼ぶことにした理由でもあります。ワークショップ1日目にはFMNYによるワークショップ「英語で日本の歌を教える準備をしよう!」を行い、2日目にバークリーの学生たちを交えた「英語でミュージカルを観よう!&日本の文化を伝えよう!」を実施しました。

1日目:童謡「お正月」を英語で紹介する

FMNYオリジナルのアイスブレークセッションで緊張をほぐした参加者の生徒たちは、5人のグループに分かれてRene先生からの宿題「日本の歌を英語で紹介して教えてください」についての話し合いを始めました。

日本の歌として選んだのは、滝廉太郎作曲・東くめ作詞の童謡「お正月」。はじめに、それぞれが事前に準備してきた歌詞の英訳を発表しました。まずもって驚かされたのは、参加した生徒たちの英語表現の豊かさでした。そもそも詩を英訳するというのは、ある程度英語ができる人にとっても難しいものです。にもかかわらず、一人ひとりが独創的で豊かな語彙を使って表現しようとしていたのには驚きました。

 

その後、話し合いは童謡「お正月」をどのようにバークリーの学生たちに紹介するかという話題へ。

各チーム5分間の発表を考えます。英語バージョンの替え歌を発表しようとするグループもあれば、歌詞の中に出てくるお正月の品々(羽子板やコマ)を実際に見せて紹介しようというグループも。グループの中でそれぞれがアイディアを出し合い活発な議論が行われました。

 

そして、ワークショップ1日目の最後に、各グループごとに通しの練習が行われました。決して十分な準備時間ではありませんでしたが、内容的にはもちろんのことながら、英語的にもとてもレベルの高い発表で、翌日の本番を期待させるリハーサルとなりました。

2日目:バークリー音楽大学への一日オンライン交換留学

ワークショップ2日目はいよいよバークリー音楽大学へのオンライン交換留学です。

 

はじめに、バークリー音楽大学の学生たちが創作したオリジナル短編ミュージカルを三作品鑑賞しました。
台詞も歌も全て英語のミュージカルで、内容をきちんと理解できるか不安な生徒もいたようでしたが、音楽に合わせて身体を動かしたり、文字通り画面にのめり込んで鑑賞したり、あるいは、ストーリーに共感して笑ったり悲しそうな顔をしたり、それぞれ思い思いにミュージカルを楽しんでいる様子が印象的でした。

 

そして各作品の上演終了後には、参加生徒から感想が述べられました。
劇中の英語を全て理解しなくても、音楽を含む様々な舞台芸術の表現方法や音感を通じて、物語を感覚的に把握・理解することは、異文化理解はもとよりグローバルな環境の中でコミュニケーションを図る上で非常に重要であると私たちは考えています。生徒の感想を聞いていると、まさに私たちが期待していたことができていたことを実感することができました。

 

ミュージカル鑑賞が終わると、今度は、日本の生徒たちがバークリーの学生たちに発表する番です。
リハーサルの時よりも一層に磨きがかかった各グループの発表に、バークリーの学生たちからは「We are learning so much! 」と感激の声が上がりました。

 

グループ発表の後は、ブレークアウトルームでバークリー音楽大学の学生と意見交換会
お正月に関する話題(日本は旧暦のお正月を祝うのかといった質問も)から、音楽に関する話題(好きなアーティストや楽器について)、さらには将来の夢(留学したい、本場のミュージカルをみたいといった声も)にわたる幅広いトピックについて活発な意見交換が行われました。

時間いっぱい話題が尽きないグループもありました。英語でのミュージカル鑑賞、そして「お正月」の発表を終えた参加生徒は、ワークショップ当初に比べ、ずっと自信を持っているように見え、堂々と英語でコミュニケーションを取っている姿がとても印象的でした。

 

ワークショップの最後には、バークリーの学生と一緒に「お正月」をみんなで歌い、その後、参加生徒からワークショップ全体の感想が述べられました。
自分が思った以上にミュージカルの英語を理解でたことが嬉しかったと興奮気味に感想を話してくれる人もいれば、英語が苦手だったけどバークリーの学生との交流がとても楽しくもっと英語を勉強したいと思ったなど前向きな感想があがりました。

 

今回のワークショップでは、バークリー音楽大学の学生と直接対話をすることを通じて、コミュニケーションとしての「英語」を体感し、実践的な英語力・コミュニケーション能力を伸ばすことも目的の一つとして掲げていましたが、その目標を多くの参加者が達成していることが感じられました。

留学を希望する人たちのきっかけ作りとして

今回のZoomで交換留学というアイディアは、FMNY代表の甲斐万里子・坪田京子の「もし自分たちにもこんな機会があったらよかったのに」という想いと願いがきっかけとなり生まれました。

 

甲斐も坪田も、それぞれニューヨーク・ボストンで芸術分野の留学を経験しています。
しかしながら、実際に留学に行くまでは、右も左も分からず不安ばかりでした。オンラインツールを使ってアメリカの大学の雰囲気に触れること、そして、実際に芸術作品に触れ、自らも英語で発表する機会を提供することで、より多くの生徒・学生たちが留学に前向きになれるのではないかと考えました。参加生徒からの感想の中に、留学したいと想うようになったという声があったのは、私たちとしてはとても嬉しいことでした。

 

FMNYは、舞台芸術のメソッド、特にインプロを使った各種教育・研修プログラムの企画・運営を行っております。
同時に、海外留学の支援や、異文化理解の促進芸術の振興といった社会貢献も企業の使命だと考えており、とりわけ教育機関を対象とした各種プログラムの開発・企画・運営に今後も力を入れていきたいと想っています。弊社の取り組みにご関心のある企業・団体の方はまずはお気軽にお問い合わせください。