ニューヨークのビジネスマンは会社終わりにインプロ(即興演劇)を学んでいる?!第一回
この秋、4週間にわたってニューヨークで開催された “Improv 4 business”という
ビジネスマンのためのインプロワークショップに参加してきました。
毎週火曜日19時〜21時にマンハッタンのとあるスタジオに仕事帰りのスーツ姿で集まるニューヨークのビジネスマン達。
なぜニューヨークのビジネスマンが会社終わりにインプロを学んでいるのか、
俳優であり起業家の私がこのワークショップで学んだことは、そしてインプロがビジネスシーンに進出した理由を今の日本企業の課題と絡めて第二回にわたり説明していこうと思います。
そもそもインプロって何?
インプロとはインプロビゼーションの略で、日本語で言う即興を示します。演劇の世界では即興劇用に様々なトレーニング方法が長い時間を経て確立されており、ブロードウェイ俳優養成学校などで受講することが出来ます。
私も俳優になるためのインプロの訓練を本場ニューヨークの学校でみっちり受けてきました。
インプロでは、全てが自由です。定められた台本も筋書きもなく、すべて俳優たちの最良に任せられています。
未知の状況の中で湧き上がる自己と他者の感情・思考を肯定し、お互いのキャッチボールを通じてアイディアを膨らませ、ひとつのゴールを作っていくまでのプロセスが欠かせない要素であり、このプロセスこそが俳優たちの高い能力を養っていきます。
つまり、俳優はインプロを学ぶことによって、撮影現場や舞台などでよくある、急な監督からの指示、その場でめまぐるしく変わる台本、相手役者のアドリブにも臨機応変にベストの状態で瞬時に対応・振る舞える”良い”役者になれるのです。
なぜインプロがビジネスに役立つのか?
最近になって、俳優のためだけではなく、発明力や創造力、表現力、臨機応変能力、コミュニケーション力を養うための学びとしても非常に有効であることが米大企業、経営者たちの間で知られ始め、世界中の企業や教育機関から注目をあびています。
スターバックス、マリオット、マイクロソフト、マサチューセッツ工科大学や、スタンフォード大学までもがこのインプロを取り入れた研修を行なっています。
『MIT Sloan Management Review』で発表された、“Learning the Art of Business Improvisation”という研究では、急速な変化への対応とイノベーションが求められるビジネスシーンにおいて、クリエイティブに問題解決を行っていくためには、インプロが有効と説明されています。
特に商品開発とチームパフォーマンスに向上が見受けられ、具体的な変化を認識したり、変化をポジティブに捉えられるようになる研究結果が出ています。
相手の心に寄り添い、心地よい環境を作り、喋りやすく楽しい場所を提供し、舞台(職場)上でどんなアクシデントが起こっても、それを「楽しく」とらえ、先に進んでいく力はどの職業においても重要なものであると考えられているからではないでしょうか。
日本のビジネスマンに足りないものは“ICC”?!
世界中にあるビジネスアイディアの50%が米国発の一方では、実は日本発のアイディアは30%と言われています。
しかし、いまだにイノベーションのスピード感・柔軟で創造的な思考力の不足により、日本の企業は未だ伸び悩んでいます。
アメリカ大企業の強みは、多様性から生まれるカオスと議論から生まれるエネルギーだと言われ、そしてそれらがクリエイティブ思考力を生み出し、多くのイノベーションを生み出します。
その環境の中で能力を発揮するのは、特に、
Innovative
Creative
Communicative
の3つの力を持ち備えている者なのではないでしょうか。
そこで私たちFOR ME NYは、ビジネスシーンにおいて必要とされるこの3つの力の頭文字をとって、ICC能力と名付けました!
私はICCに憧れていた
5年前に俳優の勉強をするべく降り立ったニューヨーク。
私が現場で衝撃を受けたのは、もちろん演技力もそうですが、それよりも休憩中に見受けられる俳優たちの非常に高いコミュニケーション能力でした。
場面応じて臨機応変に対応をきかせ物事の視点を変えていく発明力(I)、そして現実を新たに切り開いていく創造力(C)の豊かさ、さらにその2つの力を相手にしっかり伝え、アイディアを受け取る表現力(C)の高さを兼ね揃えた俳優達は私の憧れそのものであり、まさにインプロによって私たちが唱えるICCを自然と身につけていたわけです。
Improv 4 businessに参加した理由
さて、俳優としてインプロを学び、ICCも身についてきた私ですが、起業家として一からビジネスを学ぶ中で、ミーティングやプレゼンの際にもっとインプロを役立てられないか、俳優としてのICCをさらにビジネスシーンにも発展させられないか、そしてこの技術を日本に持っていけないかと考えていました。
しかし、インプロは主に企業研修で行われているのでなかなか一般の人が参加できる機会は少ないのです。
そんな中、私たちFOR ME NYと新しいプロジェクトを計画しているニューヨークのインプロ団体の代表の方から、インプロをビジネスに役立てるためのビジネスマン向けの公募ワークショップがあるから参加してみるかい?と誘いを受け、今回の参加に至ったわけです。
第二回目のブログで実際にワークショップで学んだことや詳しいアクティビティ、感想などをお伝えします。
【FOR ME NYについて】
アメリカのニューヨークに拠点を据える「FOR ME NY」は、国立音楽大学声楽科卒業後、女優としての道を選びアメリカで研鑽を重ねた甲斐万里子と坪田京子が「芸術を通して社会に貢献したい」というお互いのミッションに賛同して設立した芸術系コンサルティング会社です。
FOR ME NYでは、ニューヨーク発の「表現芸術×心理学=セルフケア」 という概念のもと、これからの時代を生きる日本人のために開発した独自のメソッドを基盤に据えて、インプロを使ったICC能力向上を中心とした体験型ワークショップのプログラムを提供しています。
インプロをはじめとした芸術を通じて、ICC能力と個人の自己肯定感を高め、QOLを向上させていくことを上位の目的に据え、芸術を通じて皆様に貢献していくことを願っています。
ABOUT
FOR ME NY
FOR ME NYは、表現芸術を活用した体験型プログラムを提供する、教育コンサルティング企業です。
個性に合わせた、これまでとは全く違う、学びの機会を提供いたします。
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