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高校生向けワークショップ「Celebrate Being You」を開催

こんにちは。FOR ME NYアドバイザーの鈴木健介(ペンシルベニア州立大学)です。2019年12月8日にニューヨーク市(NYC)にて開催した日米高校生向けワークショップ「Celebrate Being You」について報告します。


ワークショップの概要
今回のワークショップはFMNY代表のMarikoさんと私の母校である名古屋大学教育学部附属高等学校(以下、名大附属高校)のNY研修に際して実施されました。名大附属高校は、国際的な科学技術関係人材の育成を目指すスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定されています。今回のNY研修では、選抜された10名の高校生が交流校であるBard High School Early College(BESEC)の生徒宅に約1週間ホームステイし、NYの大学・研究機関や博物館等を訪問した他、各校で進めてきた研究プロジェクトの報告会が行われました。FMNYの特別ワークショップは、このNY研修の実質的な第1日目に行われました。

「もっと積極的にコミュニケーションを取ればよかった」

過去数年間にわたって実施されてきた名大附属高校のNY研修ですが、過去の参加者の事後アンケートには「現地の高校生やホストファミリーともっと積極的にコミュニケーションを取ればよかった」という後悔の声が多く見られたと言います。この研修が「初めての海外」という生徒にとって、文化的背景を異とする人たちとのコミュニケーションは、簡単なことではありません。

多様な価値観や文化が共存する環境でのコミュニケーション(異文化コミュニケーション)に関しては、国際化やグローバル化という文脈の中で大きく取り沙汰さえるようになってきました。日本では殊更、言語力が強調される傾向がありますが、言語は異文化コミュニケーションのごく一部に過ぎません。相手に何かを伝える、相手から何かを受け取るという営みを円滑に進めるためには、両者が、そのためのマインドセットを持ち、また非言語による意思疎通(一例としてアイコンタクトや身振り)を有効に用いることが必要です。また、自己肯定感(self-esteem)自己効力感(self-efficacy)が国際的にも低いと言われる日本においては、自信を持って自分らしく表現することに難しさを覚える人も少なくないように思います。


ワークショップを前に緊張の面持ちを見せる参加者

 
インプロ(即興劇)と体験型エクササイズの特別ワークショップ
今回の特別ワークショップでは以下の2点に焦点を当ててFMNYがオリジナルの教育プログラムを企画・実施しました

  1. NY研修をともに過ごす日米の高校生の円滑なコミュニケーションと、研修期間中のコラボレーションを促進するためのアイスブレイキング

  2. 自己肯定感自己効力感をキーワードとした異文化コミュニケーション・リーダーシップ能力の向上

異文化コミュニケーション能力や自己肯定感・自己効力感の向上に関しては、これまでにも教育機関や企業内教育の現場で様々な取り組みがされてきました。FMNYが提供するワークショップは、舞台芸術(演劇・ミュージカル等)の俳優育成の現場で用いられてきたインプロ(即興劇)と体験型エクササイズを応用した米国発の新しい教育プログラムです。即興劇と聞くと演技をするのかと不安を覚える方も多いかもしれません。しかし実際には演技そのものを行うことはなく、私自身も参加する中で「演技をしている」と自覚するような瞬間はありませんでした。

今回のワークショップには、ブロードウェイハリウッドの俳優、さらにはオペラのバレエダンサーとして活躍する2人の特別ゲストを講師として迎えました。Sara Koviak はNYメトロポリタン・オペラや、ブロードウェイミュージカル『ピピン』の全米ツアーでオリジナルダンサーを務めた他、近日公開予定のHBO新シリーズでニコール・キッドマンらと共演実績があります。Karl Maier はNYメトロポリタン・オペラの専属ダンサーを長年務め、NBCの人気テレビ番組『Late Night with Conan O’Brien』にも出演するほか、歌手ヴァネッサ・ウイリアムズやらとも共演を果たしています。二人はインプロを応用した教育プログラムのコーディネイター・ファシリテーターとしても実績があることから、特別ゲストとして招聘することになりました。


特別ゲストのSara(写真左)とKarl(同右)

たった4時間で見違える成長を見せた生徒たち

ワークショップは、午前・午後の各2時間ずつ、計4時間にわたって行われました。ニューヨークに到着して2日目。「これから何が起こるのか想像もつかない」と不安な表情をのぞかせる中、講師のSaraが「Safe Space」というコンセプトについて説明するところからワークショップが始まりました。このワークショップの中では、誰からも評価されることはない、自分が思う通りに自分らしく表現すればよいと説明を受けます。とは言われても、いきなり身体を使って人前で自己表現をするというのは慣れない経験です。最初のウォームアップアクティビティでは、恥じらいを拭い去れず、少々ぎこちない様子も見られました。


ウォームアップアクティビティの様子

 

自分らしいHi!とBye!のムーブメントでコミュニケーション

 
自分が投げたボールを、きちんと相手が受け取ることで成り立つ意思疎通
午前中のセッションでは、握手の仕方や、身体表現を用いた挨拶について体験型エクササイズを通じて学びました。特に印象に残っているのが、アイコンタクトで相手にエネルギーを伝えるというアクティビティでした。参加者は、車座になって一つの大きな円を作ります。最初のプレーヤーは、自分以外の誰かに対して、ジェスチャーとかけ声でエネルギーを送ります。そのエネルギーを受け取った人は、次のプレーヤーとなって、別の誰かへとそのエネルギーを伝えていきます。言うなれば、目に見えないボールを使って、次々とボールをパスしていくというものです。このアクティビティがうまくいくためには、ボールを投げる側が、相手に対して「今からあなたにボールを投げる」ことをきちんと伝え、同時に、ボールを受け取る側も、「ボールを受け取る準備」をしていなければなりません。これは、母語であろうと外国語であろうと、あるいは言語であろうと非言語であろうと、誰かとコミュニケーションを取る際の基本的な心構えです。簡単そうに聞こえますが、いざやってみると、相手が自分のボールを受け取ってくれなかったり、自分が意図していた人とは違う人が受け取ってたり、「ミスコミュニケーション」が起こってしまうことがわかります。こうしたアクティビティを通じてコミュニケーションの基本を体験的に学ぶことができるのも、インプロを応用したワークショップの魅力です。

自分を表現する、自分と相手の表現を組み合わせ新しい表現を創る
午後のセッションでは、自己表現リーダーシップトレーニングにフォーカスしたアクティビティを行いました。身体の一部分を使った自己表現の創作、手だけを使った非言語のコミュニケーション、ペアになって相手と同じ動作を行うミラーリングなど、今までに体験したことのないアクティビティの数々は、個々の動きは単純ながらも、アイディア次第でどこまでも広がってゆく表現の豊かさと面白さ、そして、それらが他者の表現と融合したときに生まれる美しさに溢れていました。最初は戸惑いを見せていた参加者も、自分の表現が相手に伝わり受け入れられたときの快感や、相手とのコミュニケーションが織りなすハーモニーを楽しむようになるにつれ、徐々に自分自身を開放し、活き活きとアクティビティに参加するようになっていきました。

身体の一部分を使って自分を表現する

 

手だけ使ったコミュニケーション

 


リーダーシップとセルフコンフィデンス(自信)を体験的に学ぶフロッキング

 

Crossing Floor

ワークショップの締めくくりとして行ったのが、会場を対角線上に横切りながら、一人一人が思い思いの身体表現を行うCrossing Floor。数時間前には、恥じらいと不安をうかがわせていた参加者の顔からは、見違えるような活力と自信がみなぎっていたのが印象的でした。さらに、様々なアクティビティを通じたコミュニケーションの成果として、会場の中に大きな一体感と信頼感が生まれ、全員が個々のパフォーマンスを賞賛し合い、会場全体として一つの作品が生まれていることを実感しました。

Crossing Floor

 

ワークショップを終えて
ワークショップを終えて参加者に感想を聞いてみると、「英語でのコミュニケーションの不安を感じていたが、まずは相手に伝えようとする気持ちが大事だということを実感できた」「自分のパフォーマンスに対して、相手が豊かな表情や言葉を以て賞賛の気持ちを伝えてくれたことがうれしかったので、自分も相手に対してもっと積極的に気持ちを伝えたいと思う」「交流校の生徒と毎日会話をするなどして積極的にコミュニケーションを取ろうと思う」といった声が聴かれました。こうした感想はまさに私たちが期待していたことであり、私たちの意図が参加者に伝わったことを大変うれしく思いました。驚くべきことは、こうした我々の意図は、ワークショップの中で明示はされていなかったと言うことです。言い換えれば、アクティビティの中で、参加者自身が実感として学び、感じ取ってくれたことなのです。私自身、インプロ・体験型エクササイズを応用したワークショップの持つ潜在性の高さに大きく感銘を受けた瞬間でした。

参加者と講師陣との記念写真

 

FMNYでは、今後も、教育機関や企業を対象に、それぞれのニーズに合わせたワークショップをご提案していきます。

 

本記事の執筆者について

鈴木健介(すずき・けんすけ)FMNYアドバイザー。名古屋大学教育学部附属高等学校出身。FMNY代表のMarikoさんとは、名大附属高校時代に同じ弓道部に所属していました。高校卒業後、名古屋大学経済学部、同大大学院経済学研究科を経て、2017年よりペンシルベニア州立大学経済学部PhDプログラムに進学。現在は、国際貿易に関する研究を進めています。2019年3月にMarikoさんと10年ぶりにNYにて再会。その後同年5月には、MarikoさんとMiyakoさんからFMNY立ち上げの話を聞き、二人の熱意に感銘を受けアドバイザーを引き受けることになりました。二人と違い芸術畑の人間ではありませんが、FMNYの取り組みを多くの方に知っていただくためには「外からの視点」も重要であると考え、微力ながら運営に携わっています。今後も、FMNYの魅力を発信していければと考えています。

ワークショップ後にMiyakoさん(写真左端)、Marikoさん(同中央)と一緒に

 

【FOR ME NYについて】

アメリカのニューヨークに拠点を据える「FOR ME NY」は、国立音楽大学声楽科卒業後、女優としての道を選びアメリカで研鑽を重ねた甲斐万里子と坪田京子が「芸術を通して社会に貢献したい」というお互いのミッションに賛同して設立した芸術系コンサルティング会社です。

FOR ME NYでは、ニューヨーク発の「表現芸術×心理学=セルフケア」 という概念のもと、これからの時代を生きる日本人のために開発した独自のメソッドを基盤に据えて、インプロを使ったICC能力向上を中心とした体験型ワークショップのプログラムを提供しています。

インプロをはじめとした芸術を通じて、ICC能力と個人の自己肯定感を高め、QOLを向上させていくことを上位の目的に据え、芸術を通じて皆様に貢献していくことを願っています。

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