FOR ME NY

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名古屋大学教育学部高等学校にて
特別ワークショップを開催(2)

名古屋大学教育学部高等学校にて特別ワークショップを開催(2)

posted date / 2022.4.11

FMNYアドバイザーの鈴木健介です。
本日は、2月17日に開催された名古屋大学教育学部高等学校での特別ワークショップ第2日目についてご報告します。第1日目の模様はこちらの記事をご覧ください。

「ミラーリング」で育むノンバーバルな意思疎通

今回も、緊張した心と身体をほぐすアイスブレイク・アクティビティからワークショップが始まりました。

 

今回のアイスブレイク・アクティビティは「ミラーリング」

二人ひと組のペアになって向かい合い、文字通り相手を写す「鏡」になったつもりで相手の動きを真似します。はじめは、講師の方からリーダーとフォロワーを予め指定して、「真似する方」と「真似される方」が決められた状態で始めていきます。そして、このアクティビティの最終形態としては、リーダーとフォロワーを決めずにミラーリングを行います。

ここでは、どちらが「真似する方」で、どちらが「真似される方」かは明らかにされていないため、アイコンタクトをとったり、あるいはお互いに空気を読み合ったりして、リーダーとフォロワーを入れ替えていきます。

アクティビティを終えた生徒からは「どちらが先に動くのか、お互いに遠慮してしまったりと、混乱することもあったが、お互いに目線を合わせ空気を読みながらやれた」といった感想が挙げられました。

「プレゼントを贈ろう」

続いてのアクティビティは「プレゼントを贈ろう」

自分の目の前にプレゼントの入った箱を想像します。大きさや重さは自由です。
そして、箱の蓋を開けて中に何が入っているかを見て、それが何かを説明する、というアクティビティです。

 

ポイントは、箱の蓋を開けるまでは、中に何が入っているかを深く考えず、開けた瞬間に自分の頭に浮かんだものを思い浮かべて「○○が入っていた!」ということです。

はじめは、自分自身にプレゼントを贈り、続いては自分のパートナーにプレゼントを贈ります。

自分自身にプレゼントを贈るときには、「あまり考えすぎずに」とはいうものの、箱のサイズや重さを決める時点で、少しだけ箱の中身を思い浮かべてしまいがちです。

しかし、自分のパートナーから箱を渡されたときには、大きさこそ分かるものの、中に何が入っているかは全く想像できません。

 

アクティビティ後の感想には、相手から贈られた箱の中身を想像するのに戸惑ったという声も聞かれました。

私たちの生活には、予見できないことがたくさんあります。

蓋を開けるまで何が起こるか分からない状況に直面したときに、その状況を受け入れて、またその状況をある意味楽しむというマインドセットを培うのがこのアクティビティの目的です。

「Zoom-In Zoom-Out」で視点を変える

後のインプロ・アクティビティは「Zoom-In Zoom-Out」。

これまでのアクティビティ同様、二人ひと組のペアになって進めます。

はじめは「Zoom-In」。一人が「私は、木です」と言うところかアクティビティがはじまります。

そして、そこから、その「木」に近づいていく(ズームインしていく)のです。

例えば、パートナーは「私は、その木の枝です」といった具合で応じ、さらに「私はその枝に止まっている鳥です」と続けていきます。

 

続いて行うのが「Zoom-Out」。今度は逆、「木」から視点をどんどん遠ざけていく(ズームアウトしていく)のです。

例えば「私は、その木が生えている公園です」、「私は、その公園を囲っている柵です」といった具合です。

 

勉強でも、仕事でも、あるいは人間関係でも、私たちは時に考えが煮詰まってしまって、にっちもさっちもいかなくなってしまうことがあります。

そんな時、視点を変えていくことで解決の糸口が見いだせることがあります。

ズームインが必要なこともあれば、ズームアウトが必要なこともあります。視点を変えていくことを感覚的に学ぶのがこのアクティビティの目的です。

マイウェイマップ

ワークショップ第2日目の後半は、キャリアをテーマにしたワークショップを展開しました。

これまでの人生の節目節目でどんな出来事があって、その時に、自分がどれくらい幸せだったかを思い出すような形で、自分のたちの人生を振り返り、それをA4用紙1枚にまとめてもらいました。

 

その後、講師陣がそれぞれの人生(キャリア)についてマイウェイマップを示しながら簡単に紹介しました。

 

坪田は、自身のキャリアを選択する際に、自分の心の声に従うこと、いくら周りが反対したり、バカにされても、自分自身が自分を否定せず、心の声に耳を傾けて実行していったという体験談を紹介しました。
その上で、キャリアの選択の際に、周りの声に惑わされず、自分の心の声に従って自分の可能性を信じて進んでいって欲しいというエールのメッセージを送りました。

 

また甲斐は、音楽大学時代、またNY俳優育成学校での挫折について触れ、その際に恩師からかけられた言葉、“You don’t need to be perfect, You’re enough”をきっかけに、自分自身を厳しくしすぎることをやめ、その後からキャリアが回り出したという話をしました。
これから自身のキャリアを選ぶ中で、ふと過去を振り返り、よくここまで歩んできた・頑張ってきたと自分自身を褒めて認めてあげる時間を持って欲しいとエールを送りました。

 

私(鈴木)は、アメリカ留学中の挫折の経験などを紹介しながら、人生とは双六のようなもので、良いサイコロの目が続けて出ることもあれば、一回休みのような不運が続くこともあるけれど、サイコロを振り続ければ必ずゴールにたどり着けると信じて、一歩ずつ前に進んでいってほしいと応援のメッセージを送りました。

 

最後に、特別講師のVince先生から、長期的な目標やゴールというのを考えるのは難しいけれど、そのときどきにおいて、何が自分を幸せにしてくれるのか、自分にとって楽しいことは何かに正直になって、キャリアの選択をしてほしいというアドバイスがありました。

 

参加者の生徒からは以下の様な感想がシェアされました。

「自分の人生を振り返ると、山あり谷ありだったけれど、その時々で自分が幸せになれる方法を見つけてきたということを再確認できて、それが自分の強みでもあるように思えた」

 

「自分がその瞬間に幸せかどうかと言うのはとても暫定的なものであって、下だと思っていたのが上だったり、上だと思っていたのが下だったりと言うことがあるのだなと感じた」

アンケート結果

ワークショップ1日目の様子

今回のワークショップの開催に際い、事前・事後でアンケート調査を実施し、ワークショップの参加によって自己肯定感や異文化理解に対する姿勢がどのように変化したかを調査しました。

アンケートでは、それぞれの項目、例えば「私は自分に満足している」といったステートメントに対して、「とてもそう思う」から「全くそう思わない」の4段階で回答を求め、ワークショップの前後で回答の平均がどのように推移したかを調べ、さらに統計的に有意な差が認められるかを検定しました。

 

結果として、ポジティブな質問項目(例:私は自分に満足している、私は自分にはいいところがあると思う)では平均値の上昇が確認され、ネガティブな項目(例えば、私は自分がダメな人間だと思う、私には得意に思うことがない)では平均値の低下が確認されました。

また有意な差が認められた項目を確認した結果、ワークショップの参加後には、課題解決や目標の達成に対して、平均的によりポジティブな姿勢を示すようになったことがわかり、また自己を否定する気持ちが平均的に低下するとともに、異文化理解に対してもより積極的な姿勢がうかがえるようになったと考えられます。

 

弊社では教育機関や一般企業を対象としたインプロ・ワークショップを、それぞれのご要望に応じてオーダーメイドで企画し運営いたします。ご関心のある方は、まずはお気軽におたずねください。